植物の魅力を伝える植物アーティスト「TOMIZOU」。
カルチャー
2019.09.03
時代の変化は植物にも。だんだんと減ってきた緑たち。
庭のある家が主流だった時代から住宅環境が変化し、なかなか植物と触れ合う機会が少なくなってしまった昨今。植物に少しでも興味を持ってもらいたいと、植物とアートを融合した作品を発信している人がいます。家業である「冨田造園」に所属しながら、植物アーティストとしても活動するTOMIZOUさん。活動をはじめたキッカケやオリジナリティ溢れる発想についてなど、いろいろとお話を聞いてきました。

冨田造園
TOMIZOU
1975年新潟生まれ。ファッションビジネス専門学校を卒業後、新潟市内のアパレル店にて勤務。2000年に実家である「冨田造園」に加わり、植物アーティストとして音楽イベントのデコレーションなども行う。子どもがサッカーをはじめたのを機に、自身もサッカーをスタート。
ファッション雑誌からたどり着いた庭のコト。
――TOMIZOUさんは、学生時代から、家業である「冨田造園」を継がないといけないと意識していましたか?
TOMIZOUさん:正直、継ぐつもりはありませんでした。専門学校時代はファッションを学んでいましたし。ただ、卒業後、アパレル店では何年か働いていたときに、考えるキッカケがありました。若者を対象とした店だったので、年齢を重ねても働いている姿がイメージできないなと。
――それで家業を継ぐという道も考えはじめたということですね。実際に造園業へ進んだのは?
TOMIZOUさん:ファッション雑誌「smart」で、おしゃれな部屋を紹介するコーナーがあったの、ご存じですか?「UNDERCOVER」のデザイナー・高橋盾の部屋が載っていたりして。それに感化されて、自室をカスタマイズしていたんです。楽しくなって、スケールも大きくなって。最終的にたどり着いたのが庭でした。それで、継ぐことも考えていたので父親に申し出たんです。
――継いでくれるなんて、お父さんも喜ばれたんじゃないですか?
TOMIZOUさん:それが…「そんな甘くないからな」と一喝され、まずは知り合いの造園師に弟子入りすることになったんです。

庭師としての「TOMIZOU」。日本庭園の考え方が基本となった。
――修行はどのくらいの期間でしたか?
TOMIZOUさん:7年でした。しっかりと日本庭園の手法や考え方を学ばせてもらえたので、今の基礎となっています。
――日本庭園というのは、きまりがあるんですか?
TOMIZOUさん:いろいろとありますよ。飛び石は着物を着た人の歩幅に合わせて置かれていたり、石段の高さもきまっていたり。理にかなっていることばかりです。なるほどなと思うことばかりで、とにかく学んで、技術を高めていきたいと考えていたので、当時はアートをしようなんて、まったく考えていませんでした。
――では、どうしてアーティスト活動を?
TOMIZOUさん:おじいちゃんが亡くなったから、庭の木を全部切って欲しいなど、庭を維持していく人たちが減っています。この現状に危機感を感じて、次世代の人たちが植物に興味を持ってくれないと庭師としての仕事がなくなってしまうのでは、と考えたのがキッカケです。

植物アーティスト「TOMIZOU」としての第一歩。
――実際に、どういった活動からスタートしましたか?
TOMIZOUさん:まずは植物に触れてもらう機会を増やそうと考え、知り合いのショップなどに植物を飾らせてもらいました。…が、これは失敗でしたね(笑)
――失敗ですか?それはどうして?
TOMIZOUさん:鉢に入れた植物を飾っているだけなので、ただの貸鉢みたいになってしまい。あと、ただ植物を飾っていても目がいかないんですよね。どんなに珍しい植物を飾っても、植物に詳しい人ってとても少ないし、単体ではイメージを伝えるのも難しいと感じました。
――植物だけではダメなんですか?
TOMIZOUさん:どうしても誰かが作り上げたイメージが先行してしまうんです。松や梅は和風のイメージですよね?そんな感じです。でも、藤の木はディズニーランドに植わっています(もしかしたらディズニーシーかも…)。松だって。それに気が付かないのは、周りの環境や何かと合わさっているからなんです。

――ディズニーシーに梅の木があるんですね。知らなかったです。あそこは外国の植物ばかりだと思っていました。
TOMIZOUさん:そんなこんなで、植物を入れる入れ物を変えたり、何かと合わせてデコレーションするようになりました。すると、ショーウインドーなどを見てくれた人が「植物をこうやって飾ると面白いね」と言ってくれるようになって、ショップやイベントの装飾依頼が徐々に増えていきました。
――どのようなイベントの装飾をされていますか?
TOMIZOUさん:2011年から毎年、入場ゲートの装飾をお手伝いさせてもらっているのが、FM PORT主催の野外フェス「Jin Rock Festival」です。年々グレードアップして、今では撮影スポットにまでなりました。いろいろな人たちが笑顔でゲートを潜っていく様子は、とても嬉しいですよね。

アーティストとしての考え方。庭師としての想い。
――作品を作るときに、大切にしているコトはありますか?
TOMIZOUさん:カタチから考えないようにしています。イメージを活字に置き換えて、その言葉を伝えるためには、どんな植物と、何を合わせたら伝わるのかを考えるようにしています。依頼があった場合には、自分の考えを押し付けないことを大切にしていて、ヒアリングに重点を置いていますね。
――そこまで、いろいろと作品作りに対して考えているのに、どうして本業にされないのですか?
TOMIZOUさん:あくまで植物に触れたり、興味を持ってもらうためのキッカケと考えているからです。フィルターみたいな役割ですかね。造園業として、あくまで植物の普及を目指す活動が「TOMIZOU」なんです。庭を持つ家庭が少なくなっている現代、もし庭を作るならこの人に頼みたいなって思われる存在になれたと思っています。その入り口が植物アーティストとしての活動になれたら、とても嬉しい未来だと思います。

日常に植物を。もっと気軽に考えてもらいたい。
植物の普及や、造園業の未来を考え、植物アーティストとしてさまざまな活動をしているTOMIZOUさん。これから、植物がどのような存在になって欲しいかをうかがうと「洋服を見に行く=植物を見に行く。そのくらい気軽に思える、身近な存在になって欲しい」と話してくれました。TOMIZOUさんの作品は、どれもインテリアに溶け込むものばかり。リビングに取り入れてみたり、お気に入りの植物を見つけにでかけてみたり。ちょっとした「植物のある暮らし」、はじめてみませんか?

TOMIZOU atelier
新潟県新潟市南区新飯田1605-1
025-374-2525
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