無人でキャッシュレス。いまどきの古本屋「今時書店」。
カルチャー
2019.12.26
新しいシステムを考案したのは現役高校生?
クレジットカードや電子マネー、口座振替を利用して現金を使わずに支払いを行うキャッシュレス決済。電車やコンビニをはじめ、多くの場所で利用することができます。そんな新しいシステムを導入した「今時書店」は、キャッシュレス決済に加えて無人営業という新しいスタイル。なんと考案したのは現役高校生というから驚きです。今回はオーナーの平さんに、今時の営業スタイルについてお話をうかがいました。

平 碧仁 Aoto Taira
2001年新潟市生まれ。2019年「今時書店」をオープン。現役高校3年生にして古本屋のオーナー。好きな科目は数学と英語。映画鑑賞と音楽が好きないまどきの高校生。
今時の高校生に聞いた、新しい営業スタイル。
――今日はよろしくお願いします。現役高校生とお聞きしましたが本当ですか?
平さん:はい。高校3年生です。普段は学校に通いながら「今時書店」の運営をしています。
――おお、高校生にしてオーナーってことですよね。驚きです。起業って学校的には大丈夫なんですか?
平さん:僕が通っている高校は、申請すればアルバイトの許可がもらえます。でもそれとはちょっと違うから、特例で許可が下りました(笑)
――なるほど。それでは「今時書店」のシステムについて教えてください。どうやって利用するんですか?
平さん:まずはホームページからブックメンバー(無料会員登録)になってもらいます。ブックメンバーになること4桁の暗証番号が付与されて、それを使って入口のカギを開けます。あとはじっくり時間をかけて好みの本を探してもらったら、会計はキャッシュレス決済です。

――となると、お店は無人ってことですよね?
平さん:そうなんです。7:00~22:00の営業時間中は無人です。だから人目を気にすることなく自分だけの空間で本を選ぶことができます。
――誰もいないと泥棒が…。
平さん:正直、可能だと思います。でも、入店する時の暗証番号でブックメンバー情報が記録されていて、さらに店内カメラの映像をリアルタイムで確認もできるから有人店舗よりセキュリティーは万全かもしれません(笑)
――セキュリティーもいまどきですね(笑)。ちなみに選書も平さんが?
平さん:ブックオーナーという方たちに、オススメの本をセレクトしてもらっています。オープン時は知り合いに頼んでいましたが、最近はホームページで募集もしました。ブックオーナーのセンスで1つの棚にビジネス書、小説、絵本、趣味本など…いろいろなジャンルの本が集まっています。だから僕は1冊も選書していません(笑)

起業のキッカケは、家族会議での立案。
――古本屋さんをはじめようと思ったキッカケは何ですか?
平さん:「今時書店」が入っているこのビルは、祖母のビルです。去年の秋まで経理事務所がはいっていましたが高齢を迎えて辞められたのを機に、これからのビルの活用について家族会議が開かれました。リノベーションなどの案も出ましたが、何かをできないかと考えて立案したのが「今時書店」でした。

――どうして古本屋さんだったんですか? 読書が好きだからですか?
平さん:どんなお店をするにしても人が必要です。でも雇うのも大変だし、家族には各々仕事があるし…それなら無人で営業できる形態を考えようと思ったのがはじまりです。無人のスキームを考えて、どんなアイテムなら可能かなって。それで思い付いた商材が本でした。だから無人販売のスキームがあってこその「本」なんです。それに…あまり読書はしないので(笑)
――驚きの回答ですね(笑)。お店をはじめて変わったことはありますか?
平さん:家族会議で立案した後に、両親へ具体的なプランをプレゼンしました。その資料を作るとき、新潟について調べたんです。そしたら新潟は起業率が全国で最下位、起業を支援する助成金などがあまり使われていないなど、残念な内容ばかり。確かに新しくお店がオープンする数は少ないし、人口も減っているし、負のサイクルの中にいるのかなって…。でも「今時書店」を通してライフスタイルの提案をしながらブックオーナーの普及活動ができたら、ちょっとした副業をチャンスに起業したい率は高まるんじゃないのかなって思うようになりました。

起業の苦労とこれから。
――起業する際に一番大変だったことは何ですか?
平さん:ん~全部です(笑)。強いて言うならブックオーナーのお願いですね。はじめは知り合いだけでなく県内の古本屋さんにもお願いに行きました。でもお店は無人だし、話に来ているのは高校生だし、信頼を築くことが難しかったです。だから難しい言葉を勉強して、知識も身に付けて頑張りました。
――本が集まらないとお店をはじめられないですもんね。オープン準備はどうでしたか?
平さん:内観を作ったり、ロゴを作ったり、店作りをお願いする業者さん探しが大変でした。開店資金は親から借りた300万円。それでお店を作り上げないとで…幾度となく断られました。それでも僕のやりたいコトを受け止めてくれたデザイナーさん、家具屋さんが応援してくれて、どうにか「今時書店」は完成したんです。本当に感謝しかないですね。
――人との出会いで「今時書店」は完成したんですね。高校を卒業してからはどうされるんですか?
平さん:本の陳列はブックオーナーに一任しているから心配はありません。ブックメンバーの管理や会計などの業務もインターネット上でほとんどできます。だから遠隔で「今時書店」の運営をしながら大学に行こうと思っています。
――無人店舗だからこそのスタイルですね。最後にこれからチャレンジしたいことを教えてください。
平さん:無人でキャッシュレスのお店ではあるけど、コーヒーのワークショップや手帳メーカーの展示会など人が集まれる場所としても展開したいと考えています。新しい営業スタイルのお店だからチャレンジできることはたくさんあるはず。これからに期待していてください。

今時書店
新潟県新潟市中央区花町1985 幸ビル1F
Advertisement
関連記事
カルチャー
現役スタイリストが営む古着屋「et cetera.tokyo」。
2019.09.26
カルチャー
独自のスタイルで歪みのある絵を描くアーティスト「相川恵子」。
2019.11.02
ものづくり, カルチャー
鮮やかで立体的なチョークアートを広める「atelier noco」。
2020.01.13
ものづくり, カルチャー
彫刻して作るカービングキャンドル。「キャンドル工房 mimin」。
2020.02.02
カルチャー
ゆるゆると水タバコを楽しむシーシャ屋「shisha café yoin」。
2020.04.15
カルチャー
収集癖をくすぐる雑貨の宝庫「COSMIC FARM」に行ってきた。
2019.07.25


