タトゥーは自分を進化させるカルチャー「KILLER LINE TATTOO」の彫昂さん。
カルチャー
2019.12.19
アンダーグラウンドなカルチャーに注目したインタビュー。
昔はひたすら怖い印象があった刺青。最近ではファッションの一部としても理解されて、表舞台に上がることも多くなってきましたが、まだまだアンダーグラウンドなカルチャーです。そんな刺青を彫ってくれる「KILLER LINE TATTOO(キラーラインタトゥー)」の彫昂さんに、普段は知ることのできない刺青のアレコレを聞いて来ました。

KILLER LINE TATTOO
彫昂 HORIGO
1982年新潟市生まれ。「SPUNK UP TATTOO」「STEEL BARROW」での経験を経て、2014年「KILLER LINE TATTOO」をオープン。食べ歩きが好きで、最近はカレーに夢中。
身近に潜んでいた刺青の存在と、残したい思い。
――今日はよろしくお願いします。彫昂さんがはじめて刺青に触れたのはいつですか?
彫昂さん:親戚のおじちゃんの友達に刺青が彫られていたか、あるいは銭湯で目にしたのが、はじめての刺青でした。確か10歳のとき。「あれは何だ? めちゃくちゃカッコイイな!」って思った覚えがあります。それで興味は抱いてはいないけど、どこか頭の片隅にずっとその気持ちが残っていたんでしょうね。
――10歳の子どもからしたら刺青は衝撃的ですよね。その後、刺青との関りは?
彫昂さん:通っていたアパレルの店員が刺青を彫っていたり、観ていた映画に出演していた俳優も彫っていたり、なんだかんだと刺青は身近な存在でしたね。

――洋画、特にアメリカ映画を観ていると高確率で登場しますよね。実際に刺青に興味を抱いたキッカケは?
彫昂さん:当時、海外の路地裏に描かれるようなグラフィティーや和の風景画を描いていました。でもそれって紙に描くのがほとんどで、いずれなくなってしまうじゃないですか。それは寂しいと思っていて。刺青は一生物だってことに気が付いてから、刺青に強い興味を抱きました。
――確かに一生なくならない作品ですよね。ちなみに、はじめて自分自身に彫った刺青って見せてもらえますか?
彫昂さん:もちろんです。はじめての刺青は両足に「HEAVEN(天国)」と「HELL(地獄)」の文字を彫りました。足を組んだ時に自分には天国が向いて、相手には地獄が向きます。こんな感じですね。

描いて、描いて、描いて。龍からはじまる修行時代。
――彫師としての修行は、何からはじまるんですか?
彫昂さん:刺青は自分で描いた絵を彫るので、まずは模写。お客さんの要望に沿った絵を描けなければ仕事にならないから、模写はとても重要なんです。
――なるほど。最初は何を模写するんですか?
彫昂さん:他の四つ足の生物、二足の動物に比べていろいろな生物のパーツが組み合わさってひとつの生き物として描かれているから、最初の課題は難しいけれど龍です。顔や手足、胴体のバランスを整えたり、動きを出すのが大変だけど、だからこそ取得した時に開ける何かがあるんだと思います。

――もっと簡単な絵からじゃないんですね。難易度が高そう…。
彫昂さん:感覚で覚えるものだから取得するまでに時間がかかったし、めちゃくちゃ苦戦しました。とにかく描いて、描いての繰り返しでしたね。今でもバージョンを変えて描き続けています。続けることが大切ですから。
――肌に彫る練習はどうするんですか? 豚に彫るって聞いたことあるんですけど、本当ですか?
彫昂さん:練習は自分の膝から下を使っていました。豚の皮を練習に使う話は聞くけれど、感覚が違うからほとんどしている人はいないんじゃないかな。

楽しさから感じる色彩。それがオリジナリティー。
――彫昂さんはどんなデザインが得意ですか?
彫昂さん:和柄からスタートしたけど、洋風の刺青も得意です。だからどちらとも言えないですね。
――地域によって人気の違いはあるんですか?
彫昂さん:わからないな(笑)。ただ新潟は全体的に和柄が多いと思います。自分たちより上の世代はグレている人が多かったから、多分その影響が。まぁ最近はワンポイントで小さい刺青をファッション感覚で彫る若者も増えているから、洋風のデザインも増えているけどね。

――絵を描くときに自分なりのオリジナリティーって意識していますか?
彫昂さん:意識しますね。それこそ題材があってもちゃんと書き直しをしますから。
――自分らしい刺青って、どんな刺青ですか?
彫昂さん:おいしそうな色で遊び心をプラスした刺青ですね。
――おいしそう??
彫昂さん:おいしい物を食べたときの生きている楽しさが好きなんです。そんなときに感じた色彩を散りばめて、おいしそうなカラーで遊び心のあるデザインをする。それが彫昂の刺青です。とはいえ、要望によっては渋い色も対応してますけどね(笑)

表現者として、彫師として。終わりなき刺青の存在。
――日本では刺青の存在にネガティブな印象を抱く人が多いと思います。どう思われていますか?
彫昂さん:正直、日本ではマイナスイメージしかないですよね。罪人の印として刺青が使われていたとか、諸説あるから仕方がないけど。でも刺青を芸術として考える人もいます。表現者として自身にないものを取り入れて自身の存在で表現。閉鎖的な国だから仕方がないけど、理解者が増えてくれたら嬉しいかな。
――ひとつのカルチャーとして、芸術として理解が深まるといいですね。最後に、彫昂さんにとって刺青とはどんな存在ですか?
彫昂さん:自分自身の味のある部分を表現しながら進化させてくれる存在。そして自分自身だとも思っています。最近は弟子の昂次郎と一緒に活動することも増えて、自分と誰かを繋いでくれる存在にもなっています。これからも刺青はいろいろな存在になって、終わりが来ないでしょうね。

KILLER LINE TATTOO
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