五泉で愛される小さなベーグル屋さん
「Re Ri Bagel」
食べる
2025.10.06
最近、若い女性や健康志向の人たちのあいだで大人気のベーグル。評判のベーグル屋さんが五泉市にあるのをご存じでしょうか。その名も「Re Ri Bagel」。武藤さんご夫婦がふたりで営む小さなお店です。今回は店長である奥様の杏里さんに、ベーグルのお店をはじめるまでの経緯や調理のこだわりについて、いろいろとお話を聞いてきました。
武藤 杏里
Anri Muto(Re Ri Bagel)
1978年神奈川県生まれ。地元の大学を卒業後、東京で事務の仕事に就く。2015年にご主人の地元である五泉市へ移住し、同年「Re Ri Bagel」をオープン。趣味は裁縫で、お店で身に着けているエプロンも手作り。横浜ベイスターズのファン。
ベーグル作りのきっかけは、
友人から誘われたイベント出店。
――杏里さんは神奈川県のご出身だそうですね。五泉に来られたのはいつですか?
杏里さん: 10年前ですね。それまでは主人と一緒に東京で普通に会社員として生活していたんですけど、主人が五泉の出身で、「地元に帰りたいんだけど」って話になったので、私もついて行くことにしました。
――はじめての地方での生活に不安はなかったですか?
杏里さん:うちの父が長野の出身なので、中学から高校までは私も長野で生活していたんですよ。だから地方暮らしの不安は何も感じなかったですね。でも私、本当は田舎生活が嫌でしょうがなくて(笑)。そもそもそれで大学進学のときに東京に出たんです。ただ、長く都会で暮らしていたら、今度は逆に都会に疲れちゃって(笑)、「田舎に行きたいな……」って思いはじめていて。
――じゃあ、ちょうどいいタイミングでの移住だったわけですね。ベーグルを作りをはじめたきっかけは何だったんでしょうか?
杏里さん:東京では事務の仕事で、これといって特技もなかったので、手に職をというわけでもないんですけど、「五泉に行く前に何か習いごとをしたいな」と思って。それでパン教室に通ったのがきっかけです。
――じゃあベーグルに関する知識や技術はそのパン教室で学ばれたのですね。
杏里さん:いえ、それがそうではなくて(笑)。授業の一環でベーグルを作ることもあったんですけど、あとはほとんど独学です。パン教室に通ったとはいっても、実務経験なんて何もなかったので、最初はぜんぜん数も種類も作れなくて。今、やっと作れるようになったかな。具材も見よう見まねで作っているんですけど、やってみてから「ああ、結構すごいことしてるんだな」と思いました(笑)
――「Re Ri Bagel」をはじめることになったのは?
杏里さん:五泉に来てから、カフェをやっている友達と知り合ったんです。そのカフェでイベントをやるときに、出店してくれるパン屋さんを探しているって聞いて、私も漠然と「パン屋さん、やってみたいな」っていう気持ちがあったので、自分から思いきって手を挙げて、お店を出すことにしました。
――でもパン屋さんではなく、ベーグル屋さん。それはやっぱりベーグルが好きだったからですか?
杏里さん:パン屋さんって種類がたくさんあったほうがいいと思うんですけど、小さな設備で作るとなると、発酵とか焼く時間とか、いろいろ難しいんですよ。大きい食パンもバゲットも作れないし……。けどベーグルなら、同じサイクルで作れるし、具材とか生地とかを変えればいろんな種類ができるし、いいかなって思って。それでやってみたんです。苦肉の策のつもりでやってみたら、それがうまくいったんですよね。それからちゃんと設備を置けるお店を探すことにして、この場所を見つけたんです。だから、ベーグルがすごい好きではじめたってわけではないんですよ(笑)

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ベーグルがモチモチな理由と、
杏里さんならではのこだわり。
――そもそもなんですけど、ベーグルと普通のパンの違いってどんなところなんでしょうか?
杏里さん:普通のパンだと、発酵したらすぐオーブンに入れるんです。でもベーグルは焼く前に、茹でる工程が入ります。そうすると余計な粉が落ちてキュッと締まってモチモチになって、1個食べただけでも満腹なボリューム感になるんです。あと、粉、砂糖、塩、酵母、イーストが基本の材料なので、油とか卵が入ってないんですよ。だからヘルシーだとよく言われますよね。
――なるほど、茹でているから、あんなにモチモチした食感になるんですね。
杏里さん:茹でる作業で忙しくて、「普通のパンを作りたい」と思ってもなかなか作れないんですよ。この「おうちぱん」っていうパンだけは生地を茹でずにそのまま焼いて店に並べているんですけど、ベーグルとは違う温度で焼かないとだし、発酵時間もかかるので、結局これも木曜限定の販売にしちゃってます。
――でもベーグルの種類はたくさんあって、選ぶのが楽しいです。人気のベーグルはどれですか?
杏里さん:「くるみあんこクリームチーズ」が定番で人気ですね。あと「スイートポテト」は今の季節の限定なのでおすすめです。
――杏里さんならではの、ベーグルづくりのこだわりがあったら教えてください。
杏里さん:五泉で農家さんの知り合いが増えてきたので、できるだけ地元で作られたものを材料に使うようにしています。この「スイートポテト」にも、「農園八兵衛」さんっていう自然栽培農家さんが作ったお芋を使っていますね。他の材料は、酵母は自家製のレーズン酵母ですし、小麦粉は国産のものを使っています。酵母や小麦粉ひとつで出来上がりがいろいろ変わっちゃうので、そこは試行錯誤しながら工夫しています。


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これからもずっと自分たちが
美味しいと思えるものを。
――今は、ご主人も一緒にベーグル作りを。
杏里さん:最初はお手伝いでやってもらっていたんですけど、しばらくしてから「忙しそうだから手伝うよ」って言ってくれて。今はもう全部作れるようになりましたね。頼もしいパートナーです。
――素敵なご夫婦です。コロナ禍が落ち着いたらまたイベントでの販売も再開するんですか?
杏里さん:コロナ禍になる前までは、日曜は必ずイベントに出ていたんですよ。だからイベントがなくなって、ちょっと寂しくて落ちこんだ時期もありました。でも日曜もお店を開けるようにしたら、今度は逆にイベントに出ていたときよりも忙しくなっちゃって(笑)。これからはお店を中心にまわしていこうかなって思っています。イベントはイベントで宣伝活動にもなったので、そういう意味でやってきてよかったと思いますけどね。
――オープンから10年経ちました。これまでお店をやってきて嬉しかったのはどんなことですか?
杏里さん:最近、いつも買いに来てくれていた近くの高校の子が、「卒業しちゃうから」って手紙を持って来てくれたんです。年に1回くらいそういうことがあります。去年も、高校にお勤めだった外国人の英語の先生が「転勤しちゃうから」って手紙をくれました。別にそこまで親しい会話なんてしていないんですけどね、なんか好きでいてくれたみたいで(笑)。嬉しかったですね。
――ちなみにお手紙は「お店のファンです!」「今までありがとうございました」みたいな内容ですか?
杏里さん:そんな感じですね。これからも帰省のたびに寄ってくれるって。イベント中心で動いていたときは、まだ五泉では活動していなかったし、たまたまこの場所があったからはじめた実店舗なので、お店を出してすぐの頃は「五泉にお店を構えている」って実感があんまりなかったんです。だけど、だんだん地域の人たちが来てくれるようになって、自然と交流も増えて、今は町に馴染めてきたというか、その感覚がなんだか不思議だし、ありがたいですね。
――最後に、今後の目標を教えてください。
杏里さん:いつかはこの場所から別の場所に変わるときが来るかもしれないですけど、自分たちがベーグルを作って、自分たちの手で直接売るっていう基本はずっと変わらずに続けていきたいです。「もっとお店を大きくしたい」みたいな気持ちもあんまりなくて、常にお客さんと対話していけたらいいなって思います。あとは、季節や年によって、材料の出来具合も変わるので、そういうのは常に気にして、自分たちが美味しいと思えるものをこれからもずっと作っていきたいです。

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